ファーマータナカの迷酒珍酒カクテルストーリー
(登場する人物物語等は妄想と願望と誇張の産物であり、実在の物等とは一切関係ありません、たぶん)
ありきたりでは満足しない。プラスアルファにこだわる。
もともとは、アルコール分は、90度前後という高濃度のスピリッツで、これを水で割り、白樺の炭などの活性炭でろ過する。
だから本来は、ほとんど無色透明で、無味無臭なのだ。
だからカクテルのベースとして重宝されるウオッカだが、一方にフレーバードウオッカと呼ばれるものがある。
これは、辛口ブームが到来するずっと以前から体を温めたり、風邪に効いたり、胃を丈夫にするために、言わば必然的に作られたウクライナのウオッカのひとつだ。
赤唐辛子とパプリカの赤い色がなんとも幻想的。
瓶ごと冷凍庫でキンキンに冷やして、ストレートで飲むのが、常道だ。
ピリリと引き締まった風味と、コクのある切れ味、とろりとした液体は、辛味の中に、かすかな甘味さえ感じられる。
人は、「ウクライナの剣」と呼ぶ。
🍺🍺🍺🍺🍺 ペルツォフカ(ウオッカ) 🍺🍺🍺🍺🍺
博才がある輩はいるものである。
ファーマータナカは、もともとギャンブルは好きだが、博打打ちの才能は持ちあわせていない。
というより、冷静を装っているが、腹の中は煮えたぎり、頭に血が昇って本来は身を持ち崩すタイプなのだが、かろうじて今日まで持ちこたえてきたといったほうがよい。
H氏は、若いのに妙に年寄臭かった。
才能はあるようだが、世の中で成功するタイプには残念ながら見えない。
暇な時を見計らってくるのだろう、
彼と私の間には、無言のうちにバックギャモンが置かれる。
このゲームは正しく人生の縮図というより、人生そのものだ。
たった数分間のうちに、たったふたつのサイコロで、歓喜と絶望が繰り返され、最後は、私の息の根が毎回確実に止められる。
ファーマータナカの頭と腹の中は、唐辛子の山が燃えていた。
賭けられていたペルツォフカを、H氏はいつもニヤリと笑いながら飲む。
(2002/03/02記)