戯作文

戯作とは、通俗小説などの読み物の総称で、戯れに書かれたものをいい、戯作の著者を戯作者という。 そこかしこに書き散らかしたり、細やかにしたためた駄文の置き土産を、ここに印す。

バーツール

一般的には老老介護と言うのだろうが、単なる老老同居と言うべきか、いやいや感覚的には仮住まいと言った方がピタッとくる。
その証拠に荷物の大半は未だ段ボールのままで積んである。

それでも苦節236日、出口の見えない日々はただずるずると流れていくだけだ。

日々の生活の中で、例えば文房具ひとつ、衣類ひとつ、調理器具ひとつが、アレー?アレははどこにあるのかと気になる時がある。

今回ふと思った。
クリスタルロックグラスはどこ、ショットグラスはどこ?
となると、ミキシンググラスは、ストレーナーは、メジャーカップは、バースプーンは、ボアラーは…。

ちょうどもうすぐクリスマス、と言えばクリスマスプレゼント。
職場ではありがたいことに各方面各面々からたくさんのプレゼントが子ども達に寄せられて、スタッフは仕分けや袋詰めにおおわらわだ。

翻って自分はどうだ?
どうせ誰からも来ないのなら、自分で自分にプレゼントすればいい。
自分を誉めてあげればいい。

ということで、買っちゃえ、
「Cocktail Shaker 23 Piece Set」と「Mixing glass & Strainer」。

Amazon宅配だと、母の玄関での受取には無理がある。
初めてコンビニ受取にしたけど、届くまでソワソワ、届いてウキウキ。

この大人のオモチャ、気に入りました 😘

あとはとっておきのプライベートカクテルを調製してあげられる彼女さえ現れれば、イブに死んでも良い ☦️

 



フロール・デ・カーニャ

ファーマータナカの棚からスピリッツ。
(兼もうちょっとだけ引っ張る東京行脚オマケ編)

酒は旅である。
ドリンカーは旅人である。

東京ステーションホテルのオーセンティックなメインバー「Oak」はあろうことか週末のみの営業と言うことであっけなく振られ、ややカジュアルな「Bar&Cafe「Camellia」を訪れることになった。

若くて凛々しい女性バーテンダーのおすすめの一杯は
「Flor de Caña(フロール・デ・カーニャ)」。

このラムは中米ニカラグアの活火山で育まれたという極上ラム。

ニカラグアといえばもう8年も前になる、パナマからグアテマラへの帰路時、トランジットで空港には立ち寄ったところだ。
(この辺コスタリカホンジュラスエルサルバドルは是非訪れたかった)

後付けで調べてみると、
「活火山の麓で5世代続く歴史あるラム造りの名家が、地球環境に優しいサステナブルな生産方法にこだわり造り上げた、極上のラム。
砂糖や人工的な添加物を一切使わず、高品質なバーボン・バレルを使用し、火山の麓の肥沃な土地で自然熟成され、100%再生可能エネルギーで蒸留、グルテン・フリー、コーシャ(KOSHER)認証済。」

なるほどこのチョイス、どうもプロには、にじみ出る私の SDGs な優しい心根が見えるのだろう😜

ファーマータナカは地球にやさしい旅人である。

Bar&Cafe Camellia @Tokyo Station Hohel 

 

 

サンジェルマン

ファーマータナカの棚からリキュール。
(兼まだまだ引っ張る東京行脚オマケ編)

18.44mのロングカウンター。
何でピッチャーズマウンドからホームべースまでの距離なのかと思ったら、そうかここは、球場のど真ん前の Bar。

ネオンブルーがファンタスティック。
カウンターの奥には、気怠そうな女性カップルの姿。

昼下がりからだらだら飲んで、そんなに食べてはないけど自称ディジェスティフ的にもうちょっといく。
元々貧乏人の出なので、高級ブランデーなんぞは似合わないし嗜まない。
アテももう少しだけ、ドライトマト🍅とオリーブで。

女性バーテンダーのおすすめは「サンジェルマン」。

手摘みされた天然のエルダーフラワー(和名:セイヨウニワトコ)と、誇り高き職人の技から生まれたという、パリのエスプリを纏ったスーパープレミアムフレンチリキュール。

ここはあえてソーダやトニックのビルドではなく、そのフローラルを味わってみる。
芸術家や美食家などの文化人の集まったパリの人気エリアに今宵一気に翔んでゆくのだ。


・・・とはいえ、翔べないオンボロ帆船でのあたふたした日々の航海は、あとどの位続くのだろう。
破れかかった帆を静かに休める港は、あといくつあるのだろう。

Bar2000@Tokyo Dome Hotel



日本酒

今日から10月、「神無月(かんなづき)」だと言いたいところだが、「神無月」の由来の一つに「醸成月(かもなしつき・かみなしつき・かみなつき)」が転じたという説がある。
翌月に行われる「新嘗祭(にいなめさい)」のために新穀で酒を醸すことからこう呼ばれるというのである。

ついでに10月1日はなんと「日本酒の日」であるので、しぶしぶ日本酒の話を書くことにする。

何で日本酒の日かと言うと、まさしく10月は収穫された新米で酒蔵が酒造りをはじめる季節。
又十二支の10番目に当たる10月は「酉」の月で、日本では「トリ」と読まれまるが、元来は壷の形を表す象形文字で「酒」を意味する文字でもあり、このような理由から日本酒造組合中央会は1978年に「10月1日は日本酒の日」と定めたとある。

吾輩であるが、今でこそラム酒の愛好家などと称しているが、基本お酒であれば何でも飲むし、中でも日本酒との付き合いは長く、本当は日本酒を一番好むといってもよい。
ただ、飲んでいた日本酒が貧しさや時代背景もあって劣悪な品質でまがい物も多く、日本酒は悪酔い二日酔すると言われる時代でもあった(ただ当時から質より量の問題であったことが判明している)。

例えば若気の至りで学生結婚したため自活せねばならなくなり、大学とは反対方向の調布市の鉄工所で一介のプロレタリアートとして働いていた。
帰りは工場のおいちゃん達とほぼ毎日角打ちしたり、酒屋の裏でコンテナに座りいわゆる合成酒を飲みながら、資本主義社会の矛盾を体感していた。

その頃飲んでいた日本酒は、時代的には通常の2倍もの醸造アルコールを添加した「三増酒(三倍増醸酒)」と呼ばれるものが中心だったのだろう、その中には質の悪い酒も少なくなく、そういう酒をあおっていたわけだ。
ただ醸造用アルコールは、実はサトウキビなどを原料とした糖蜜から作られた蒸留酒(今も好きだ)なのでそれ自体が悪者ではなく、もう一方の添加物である醸造用糖類の大量添加の方が問題だったのではと思う(実際1升瓶には茶碗1杯の味の素が添加されているとか言われていた)。

ついでに先日同級生の酒のプロと話した時のいわゆる「燗」の話題も載せておく。
現代においては、特に高級な日本酒は冷やして飲むのが常道のようになっているが、そもそも冷酒は日本酒の伝統からは外れており、例えば大吟醸酒だからといって燗はタブーではない。
逆に燗をつけると造りの良し悪しが露呈してしまうともいい、彼はいわゆる「ぬる燗」を推奨していた(もちろん銘柄による)。

とは言え、今日から10月「醸成月」なのだから、吾輩の願いはもうお解りであろう、よろしくお頼み申す。
(画像は自分のGoogleフォトより)



シャブリ

ファーマータナカの先般のワイン🍾「Chablis(シャブリ)」。

白ワインの定番シャブリは、フランス北東部ブルゴーニュ・シャブリ地区の、寒冷な気温とミネラル分を含んだ土壌で育まれたシャルドネによって生まれた、上品な酸味とキレを持つ白ワインで、海鮮を扱う日本料理との相性が良い。

友達の友達が何故か友達だったりする愉快な仲間達と。
いやあのその、のべつまくなし博多くんだりで飲んでるわけではありません。

海鮮博多あまの@西中洲





一人

心を凪にする。
ボトルの大海原に暫し孤独をゆだねる。
ゆっくりと杯を重ねる。
Bar で落ち着くとはそういう事だ。

「もういい、一人でいい。
ながく生きてきて、ものごとが見えてきた。
社会的地位が高い低いなどという価値観はとうに消えた。
そういうことにこだわる人はつまらん人だとわかってきた。
立身出世をはたした、経済的に成功した、それがどうした。
頭がいいとか、リーダーシップがあるとかも、どうでもよいことになった。
人生の価値観が変わったのだ。」
(「酒と人生の一人作法」より:太田和彦

居酒屋探訪家の一文。
開き直りや負け惜しみともとれるが、そう言い切るに至る時を重ねてきた人なのだろう。
ただのんべんだらりと杯を重ねてきた俺とはちと違う。
だからか、概ね共感できるが、自分はやっぱりまだ一人は嫌だ。

LAODI Brown Agricole Rhum @ B≠A≒R

※アグリコールラムとは、サトウキビから砂糖を造る際にできる搾りかすの糖蜜からではなく、サトウキビそのものの搾り汁から作るラム。