戯作文

戯作とは、通俗小説などの読み物の総称で、戯れに書かれたものをいい、戯作の著者を戯作者という。 そこかしこに書き散らかしたり、細やかにしたためた駄文の置き土産を、ここに印す。

幸い

ファーマータナカの今日の名言。

貧しい者は幸いである。
人の優しさを知ることができるのだから。
恋を知らない者は幸いである。
初めての恋をすることができるのだから。
孤独な者は幸いである。
衆愚に合わせる必要がないのだから。
無知なる者は幸いである。
学ぶことがいくらでもあるのだから。

名言格言って、短かめのセンテンスの中に真理はもちろん皮肉や逆説が含まれていて興味深い。

ネットで出会ったこの文言、ネタ元はたぶん、
「心の貧しい人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである。」
で、マタイによる福音書5章3節だと思うが、どうやら創作(架空)名言かもしれない。
(もし出典が解るなら教えてほしい)

ともあれ私はきっと幸せなのだ。



Speakeasy

昨日は雀の涙ほどのお知り合いの皆様から、素っ気ない誕生祝のお言葉を頂きありがとうございました。

ちょうど健康診断と重なり、珍しく2日ほどお酒を抜いておりました。
一見常飲者と思われているフシもありますが、コロナパンデミックが始まる前までは基本的に週末の2日位しか飲酒していなかったのです。
それが、ストレスか単なる意志薄弱かずるずると飲むようになってしまい、現在に至っています。
幸い振戦せん妄も起こらず、誕生日を期に一瞬休肝日5日の日々に戻そうかとの邪念が頭を過ぎりました。
根が真面目な自分の中では、日々自分を律しようとするストイックな自分と、快楽に溺れるエピキュリアンな自分がいて、このところは毎日後者に軍配が上がっているのです。

ほぼ百年前の1920年アメリカではお酒による家庭内暴力や酒浸りなどのアルコールによる災いを無くそうと天下の悪法禁酒法が施行されました。
酒の密売所を表す「Speakeasy」という言葉があります。
もともとは、「密かにこっそりと話す」というような意味で、それが当時の「無許可バー」とか「潜り酒場」の事を表し、今では「隠れ家的バー」の意味で使われるようにもなっています。

誕生日を期に、easy をモットーに、更なる「隠れ家的バー」の発掘に決意を新たにしたところであります。

8月もおかけ様であと3つほどお誘いを受けております。
今しばらく適当に遊んでいただけますようよろしくお頼み申し上げます。

※画像:SPEAKEASY Ales & Lagers(ロゴに使われている大きな目玉は、潜り酒場に入店する際、やって来た客が常連かどうかを確認してから扉を開ける為の覗き窓からのぞく目玉をモチーフにしたもの)



ファーマータナカのアルコール学び直し講座第2回「日本(の)ワイン」。

これまで、カクテルストーリーや我楽多酒整理編やラム酒世界旅など、珠玉のショートストーリーやエッセイを通して、お酒の話を世間の迷惑顧みず世に垂れ流してきた。
ただ、この歳になって、ただ飲めればいい酔えればいいでは、あまりにも情けない。

かのフランスロマン主義の詩人で小説家ビクトル・ユーゴーは「神は水を作ったが、人はワインを作った。」と言っておる。
僕ら紳士淑女の飲酒行動には、それなりの意味づけと知識武装が必要ではあると思っているのだが、ワインは神が水を作るほど偉大な所作であるし、実のところ当地にはワイン博士と呼ばれるくらいのI氏とか、自然派ワイン販売会社で急成長しているN氏とかの知り合いもいて、お前がワインを語るには100年早いとツッコミが入りそうなので、今回は周辺情報というところで逃げ切ろうと思う。

ドラッグストアなどで、「ポリフェノールたっぷり酸化防止剤無添加」と表示された、紙パックやペットボトルワインが売られている。
メーカーもサントリーやサッポロやメルシャンで(だから信用できる?)、無茶健康に良さそう(量を飲めば良いわけない😌)で、一番の魅力はその価格の安さだ。
おまけにアルコール度数の高いストロングまである(益々健康に良くない😖)。

しかしこれらは、ワインではなかった。
厳密にいうと、「国産ワイン」ではあるが、「ワイン」ではなく国内で製造されているが「日本ワイン」でもないのである。
これらのワインは、原料に「濃縮還元ぶどう果汁(外国産)」の表示があって、輸入した濃縮果汁にアルコールや水や糖分等を添加して造られるワインもどきなのである。

そもそも世界の多くの国でワインとは、原則原料はぶどうのみであり、造る際に加水することは禁止されている(例外有り)。
ところが日本では外国産の原料を使用していても国内で製造していれば「国産ワイン」となる。
日本にはワイン法の様なものがなかったが、最近やっとラベル表示をわかりやすくするための基準が施行され、国産ぶどうのみを原料とし日本国内で製造された果実酒が「日本ワイン」と表示されるようになっている。

「日本ワイン」は昨今注目されのびしろもあるが、気候変動や品質の安定、栽培技術や醸造技術の向上等課題も多い。

ここは、日本ワインを(多)飲することで応援するしかない。



夢屋

半分ブルーシートで覆われた、決して綺麗とは言えない屋台が、明治通りにポツンとある。

その暖簾をくぐる。
マスクをしているせいでもあるが一瞬店主は怪訝な表情、しかしすぐ認識してくれたようだ。
瓶ビールをオーダーし、トマトと焼鳥とニラトジをつまむ。

しばらくすると若い男が覗いて「3人いいですか?」と尋ねてきたが、それを見た店主は、「きっとあの客は入ってこない。」とぽつりと言うと、案の定来なかった。

又一人の客が来店し、ちょっとキョロキョロしながらメニューを見ているのを見て、「どっちからですか?」とさりげなく声をかける。
「静岡から。」
私は一見さんだろうとは思ったが、店主は観光客だと一瞬でわかったのだろう。

また一人十数年振りに久留米に来たという客は、あの頃どこそこにこんな店や通りがあったと思うが的な昔話で盛り上がり、熱燗がすすんでいた。

やがてバブル到来という頃、24歳で始めた屋台はもうすぐ40年になるといい、その持続力には脱帽するしかない。
私より10歳年下なのだが、飲食業者としてはほぼ同期、昔の面影そのままにその表情と決して多くはない言葉には、生き抜いてきた確かな自信が感じられる。

久留米市内には、1970年代前後の全盛期の頃には70軒以上の屋台が軒を連ねていた。
それが今では5~6軒になってしまい半世紀で10分の1以下、それどころかここの店主によれば、毎日ちゃんと営業しているのはここ1軒だけではないかともいう。
福岡市でも、屋台の公募抽選をしたり観光資源だ文化だといったニュースも流れてさぞかし流行っているのではという印象があるが、こちらも現在は100軒程度、最盛期には500軒近くあったという。

瓶ビールもう一本、ちろりの熱燗一杯だけ。

それにしても、何て素敵なネーミングなのだろう。
薄汚れた「夢屋」の文字は、色褪せないでしっかりと灯っている。

 

ホテルのバー

ドライなマティーニのオリーブ。
スイートなマンハッタンのマラスキーノ・チェリー。

秋の夜長の、老舗ホテルのバーでの2次会が、おつ。

Bar Lounge GROTTO@Nishitetsu Grand Hotel



ラム

ファーマータナカのアルコール学び直し講座第1回「ラム」。

これまで、カクテルストーリーや我楽多酒整理編やラム酒世界旅など、珠玉のショートストーリーやエッセイを、世間の迷惑顧みず世に垂れ流してきた。
ただ、この歳になって、ただ飲めればいい酔えればいいではあまりにも情けない。
神学者マルチン・ルターでさえ「酒と女と歌を愛さぬ者は一生阿呆で過ごすのだ。」と宣っておるではないか。
一生阿呆で過ごすなんてまっぴらだし、僕ら紳士淑女の飲酒行動には、それなりの意味づけと知識武装が必要だ。

ということで、第1回は当然我が愛するラム酒であろう。
今回は色・風味・製法別にその分類を見ていく。

【 色による分類 】
◇ホワイトラム
活性炭などでろ過を行い、淡色または無色透明に仕上げられたラム酒。カクテルベースに最適、別名シルバーラム
◇ゴールドラム
バーボン樽等で3年未満熟成の薄い褐色が特徴。別名アンバーラム。ホワイトラムとダークラムの中間的な味わい。
◇ダークラム
バーボン樽等で3年以上樽熟成させた濃い褐色のラム酒。焼き菓子などに用いられ、ロックやストレートで味わう。

【 風味による分類 】
◇ライトラム連続式蒸溜機で蒸溜し、樽やタンクで短期間熟成させた軽快な味わいのラム酒。おもにカクテルベースに使われ、スペイン系の生産地に多く見られるタイプ。
◇ミディアムラム
ライトラムより風味が強く、ヘビーラムよりは個性が控えめ。おもにフランス領植民地に多いタイプ。こちらも主にカクテルのベース。
◇ヘビーラム
単式蒸溜機で蒸溜された、風味豊かで香りも強い個性的なラム酒。イギリス系の植民地で発展してきた濃厚な味わいは、お菓子作りにも重宝される。

【 製法による分類 】
◇インダストリアルラム(工業生産ラム)
糖蜜を原料として造られるラム酒ラム酒の大半はこの製法。
◇アグリコールラム(農業ラム)
サトウキビの搾り汁を原料に造られるラム酒。フランス領の植民地で開発された製法で全ラムの3%程度。

画像は友人達とのラムづくしで、ダイキリ(ラム+ライム+砂糖)、キューバ・ビブレ(ラム+コーラ)、マイヤーズ・ラム、キャプテン・モルガン、ハバナ・クラブ。
薬院@JB's BAR